2008年2月9日土曜日

SIerでは何故ギーク志向エンジニアが評価されない(育たない)のか

SIerの身分制度と収益構造が密接に結びついているから。
SIerの身分制度は言わずもがなで、経営陣>コンサルタント>SE
>>プログラマ。
まず、収益構造からみてみる。
1つのプロジェクトに投入できる人数はコンサルタント<SE<<プログラマ。
つまり、プログラマの担当する製造の日数を契約時の工数で最大化すれば、
会社は儲かる。製造の人月を契約時の工数で最大化するためには単価の安い
平凡なプログラマを投入することで製造日数を多く見積もるのが一番、
その副次効果としてテストの日数も多く見積もれる。
この方法だと、プロジェクト単体から得られる利益がその規模に比例するよう
にできるので、SIerにとっては都合が良い。
優秀なプログラマを育てると、少ない人数で製造でき、バグも少ないので、
製造に掛かる日数とテストに掛かる日数が激減し、プロジェクト単体から
得られる利益が減少する。
プロジェクト単体から得られる利益がその規模に比例する状態を維持するには
プログラマを育てないで使い捨てにするのが一番なのである。
製造の日数を最大化する現状の方法ではプログラマを育てないことで
プログラマに払う報酬を安く抑えプロジェクト単体の人数の最も多い身分の
人件費を最小化するのがコスト削減に繋がっている。

SIerの身分制度については組織構造と収益構造が深く結びついている。
SIerでの人数分布は経営陣<<コンサルタント<SE<<プログラマ。
SIerの年間の売上が決まっている(プロジェクト単体では受注時に決まる)
中で、人数が少ない身分により多くの報酬を払うようにすれば、SIerは
儲かる。一番人数の少ない経営陣にとっては自分たちへの報酬が最大化し、
都合が良い。
SIerのピラミッド構造は今後も変わることはない。、
SIerの組織の中ではプログラマを評価しない仕組みが既に出来上がって
いるので、優秀なプログラマが行う行為が設計かどうかを議論する
ことに全く意味はない。

毎年毎年、大手・中堅のSIerには安い賃金で働かせることのできる
新入社員がわんさか入ってくるので、入社後数年の若手社員は
プログラマとして扱ってそれからSEにジョブチェンジさせている。
足りない分は外注・派遣で補い、単価を抑える。外注のほうも大手・中堅
のSIerに単価の安いエンジニアを薄利多売で投入して利益をあげる(外注の
場合は単価の高いエンジニア(SE)数名と単価の安いエンジニア(PG)の
セット売り、比率はSE<<PG)。外注・派遣業者のほとんどは自分たちの
利益を圧迫する人材育成にコストを掛けることはない。
専門学校や大学からの安くつかえるプログラマの供給は途絶えないので、
このSI業界の体制が変わることは当分ない。

そこにギーク志向エンジニアを育てる土壌はない。

[蛇足]
原価 + 利益 = 価格、クライアント向けと内向けでの原価が違うこともある。
クライアントの出せる金額は上限が決まっていることが多い。原価を低く
抑えることで利益の部分を大きくする。

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